チャプター 60

真実、その三

カミラ視点

回想:

この記憶を、千回だって消そうとした。

けれど、どれだけ遠くへ逃げても、どれほど強く目を閉じても、必ず追いついてくる――すべてが粉々に砕け散った、あの夜が。月光のカミラであることを終え、呪われたルナへと堕ちた夜が。

刻印の儀式の夜。

あの晩の中庭は、提灯の灯りで息づいていた。白い石柱には月光が薄衣のようにまとわりつき、巫女たちの朗々たる唱和が空気を震わせていた。

美しいはずだった。

人生でいちばん幸せな夜になるはずだった。

何週間もかけて準備してきた――刺繍を施した儀礼衣、食で埋め尽くされた卓、寸分の乱れもない戦士たちの隊列。父ジャックは私の傍...

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